保育の現場でもAD/HDやLD、自閉スペクトラム症について学び、
さまざまな子どもたちに関わる機会がありました。
しかし、療育の場に日常的に関わるようになってからは、
新しい用語を知ったり、療育の具体的な手法を目にするようになりました。
その中で、発達障害を持つ子どもたちに対する手立てのひとつとして、
「トークン・エコノミー」という方法があります。
トークン・エコノミーとは?
トークン・エコノミーは、適応的な行動に対する正の強化子に基づく介入技法です。
クライエントが適応的な行動を行った際に、代理貨幣であるトークンが強化子として与えられます。
トークン自体にはそれほど高い価値はありませんが、
一定数を集めるとクライエントにとって好ましい品物や活動といったバックアップ強化子と交換できます。
(公認心理士対策テキストより)
実際に支援級の先生やご家庭でトークンを取り入れている様子を見ると、
この手法をうまく活用するのは難しいと感じます。
ごほうびシステムが、馬の目の前にぶらさがっているニンジンにならずに、
子どもの「~しよう!」という主体性を引き出すきっかけにしたいんですもんね。
ひと(他者)を変えることはできるのか
私たち大人は仕事や日常生活の中で、
他人との関わりで困りごとや悩みが生じた際に
「自分は変えられるが、他人は変えられない」という言葉をよく耳にしませんか?
自分が期待したような行動を相手がしなかったときに
イライラしたりストレスを感じることが多いのですが、
それは当たり前のことで、他人は自分の思うようにはなりません。
何かを「させる」ことはできないんですね。
コントロールもできないし、しちゃいけない。
相手が子どもでも同じこと。
子どもがイヤだと言っているのに
無理やり勉強を「させる」ことはできないし、
サッカーをやりたいと言っているのに
親の好みで野球をやらせることはできない。
強制的にやらせると
後々ひずみが大きくなって不具合が起きます。
抑えれば抑えるほど反発が大きくなります。
バネのように。
主体性を大切に育てるために
大人が子どもに「~させたい」と思う際に、
その手段として上記のごほうびシステムを使うと、
子どもにとっての「~する」目的が変わってしまうことがあります。
「100点取ったらUSJに連れて行ってもらえるから勉強する」といった具合に。
勉強は何のためにするのか?
学ぶ楽しさや喜びはどこへいくのか?
子ども自身が「~したい」「~しよう」と思って行動する「主体性」を
大切に育てたいですよね。
子どもが自主的に勉強したり、身の回りのことを自分でやるようになるために
大人はどうやって関わるのがいいのでしょうか?
トークン・エコノミーのリスク
トークンを安易に取り入れると
子どもの発達や大人との関係が望ましくない方向に進む可能性があります。
内面が育っていると、後々大人も子どもも(子どもが大人になってからも)
周りのみんなも心地よく過ごせるようになります。
最後に…
子どもの主体性を育むためには、短期的なごほうびに頼らず、
子どもが自ら望んで行動する喜びを感じられるように、
大人のはたらきかけを大切に考えていきたいものです。
どうやってはたらきかけるのかというと…
参照記事【「矛盾を越えていくのが発達」の意味】あかちゃんの首のすわりや寝返りに見る矛盾を感じるちからとエネルギーについて⇒こちらの記事を参照