文字への興味が学習意欲に与える影響

文字に対する興味や関心が育っているかは、学習意欲と大きく関わってきます。

5歳半頃の子どもは、自分が成長しつつある存在だということに気付きます。
できなかったことが「だんだんできるようになる」自分、
わからなかったことが「だんだんわかるようになる」自分を理解し始めているのです。
参考記事⇒【発達のみちすじ】5歳半頃「だんだん~」の認識がすすむと広がる世界と大人になってからでも大切なこと

読めなかった文字が読めるようになり、ちょっと大人に近付いた自分を発見して、自信と喜びを感じます。
そんな自分を友だちにも自慢したくなりますね。
このような文字への興味や関心は、文字学習を始めるための重要な条件です。

しかし、興味を持っていない子どもに無理に文字を教えることは、
むしろ学習意欲を低下させ効果を減少させる要因となる可能性があります。

文字への興味を育てる方法

就学前の保育のなかで、

・絵本や手紙の読み聞かせをする
・手紙の読み聞かせをする
・園や家庭のいろいろなところに機械的な50音表ではなく意味のある文字が書かれてある

といった場面設定を積極的におこない、文字への興味を育てていきたいものです。

書くことと読むことの区別

子どもが文字を読めるようになったからと言って、すぐに書く練習をしない方が良い場合が多いです。
文字指導には技術的な側面があるので、系統的に進めていくことが大切です。

興味の偏りや発達のアンバランスがあって、
言語能力や技術的側面での学習レディネスがまだ育っていないのにもかかわらず
文字へのこだわりを示す場合があります。

例えば、画用紙をもらうと絵を描こうとせず、意味なく知っている文字を書き並べたり
数字やアルファベットを羅列したりする場合です。(文字学習の土台が育っていないときにどこかでそれらの数字やアルファベットをインプットする機会があったのですね)
自閉的傾向を持っている場合には、特に顕著に表れやすいです。

こんなときは、子どもの発達的特徴をよく見て発達課題を明確にし、
生活の内容を見直してみることが先決で、
安易に興味の偏りを助長してしまわないように留意する必要があります。

参考文献「小学校までにつけておきたい力と学童期への見通し」丸山美和子 著