◎毎日個別の連絡ノートを書いている場合

あなたの保育園や職場では、毎日子どもの連絡ノートを書いていますか?
個別のノート。

私も保育園勤務は毎日個別の連絡ノートを書いていました。
子どもが昼寝している間に必死で。
「今日はこんなことがありました」
「○ちゃんは友だちとこんなことしてあそんでましたよ」といった内容で。

保護者も毎日そのノートにいろいろ書いてこられるんですよね。
家庭での子どもの様子はもちろん、おかあさんの悩みなんかも…

それに返事を書いていると
保育士によってはどんどんエスカレート(?)して
なんだか交換日記みたいになっていることもありました。

そうしたら、たまにありませんか?
保護者の方が延々長文のクレームをノートに書いてこられることが。
自分の文句や怒りをノートで保育園にぶつけてくるのですね。

保育士にしたらたまったものではありません。
「そんなこと言われたって…」という中身のこともよくありました。

というよりほぼそういった内容。
だからこそ返事に困る。

◎保護者からのノートにどんなふうに返事を書く?

あるおかあさんが延々長文のノートを書いてこられたのは
クリスマス会についてのことでした。
宗教についてだとか、商業主義についてだとか、
サンタがプレゼント持ってくることについてとか…
要するに文句ばかりなのですね。

若い保育士は返事に困り、「これ何て書いたらいいでしょうか」と毎日先輩に聞きに行き、
返事を書けば書くほど次の日のおかあさんの文章が増えて
対応がたいへんだったことがありました。

こういうケースでは、担任の保育士も園としても疲れますよね。

◎ノートを書いている保護者の気持ち

あとで客観的に考えれば、おかあさんの気持ちも理解できるところがありました。
そのおかあさん、ご自身のご両親の仕事の関係で
おそらくクリスマスとは無縁な子ども時代を過ごしたのだろうな
ということが想像できました。

もしかしたら幼いときに
ノートに書いてこられていた内容のようなことを
ご自分のご両親から何回も言われていたのかもしれません。

きっと他の友だちのように
クリスマスにプレゼントを買ってもらって、ケーキを食べて、
楽しく家族で過ごしたかったのでしょうね。
でも、それがかなわなかった。

そんな未完了の思いを抱えているままだったら、
保育園の行事のクリスマス会で、わが子がそれを楽しみにしている姿を見ると
それは無性に腹が立って受け入れられないですよね。

そして矛先は保育園。
クリスマスに対する恨みつらみ
クリスマスができなかった悲しさ、さみしさ
クリスマスをやってくれなかったご両親への腹立たしさなどが込み上げてきて

楽しそうにクリスマス会をやろうとしている保育園に
怒りをどーーーっとぶつけたくなったのでしょうね。

今ならわかる。
当時はわからなかった。

◎保育士は感情労働ゆえに心得ておきたいこと

保育士をはじめ援助職には、こういった場面に出会うことがよくあります。
こんなとき、「正面からこの人の気持ちを受け止めないと」とやっていると
自分が激しく消耗してしまいます。

話を聴けば聴くほど
相手の気持ちが大きくなっていきます。

ノートに書かれているクレームの内容だけにとらわれず
その背景にあるこのおかあさんの痛みや怒りに気づくことができれば

そして、おかあさんの怒りに巻き込まれず
自分との境界線を適切に引くことができれば、
また対応の仕方が違ってくると思います。

保育士は「受容」と「共感」を求められることが多いですが
感情労働を続けるには、感情にまつわるさまざまな理解やこころのスキルを学んで
自分でそれを実感する経験が必要になります。

それを学ぶ機会が本当にないのですよねー。
私も「もっと早くに知っておきたかった!」と実感することは多いです。

ですので、
それをできるだけたくさんの保育士の方に知ってほしいし、
伝えていきたいなーと思っているのですよ。

特にまだ経験の浅い保育士のうちに(できれば保育士になる前に)お伝えすることができれば、
ダメージは少なくなるだろうな、と思っています。

☆” しんどくなってしまう前にね

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