小学生や中学生になってからでも子どもたちが他の子たちと関わる様子を見ていると、
つくづく「1歳半の節」がやっぱり大切なんだな~と感じさせられることが多いです。

で、いったい1歳半の節ってなに? ってことなのですが…

子どもの発達のなかでもとても大切な節目ですので、
ひとつの記事でコンパクトにまとめられるものでもないのですが、
大まかなところを少しお伝えしたいと思います。

1歳半でできるようになること

1歳半頃というのは、

  • 「二足歩行」ができ
  • 「道具を道具として使用」し
  • 「言葉を獲得する」

といった大きな変化が見られるときです。

ただ、これらができるようになったからといって
「1歳半の節をこえた」と言えるわけではありません。

これらのちからを自分のちからとして使いこなす「主体」ができているかがとても大切です。

全身運動や手指の操作などをふくめた生活のなかのさまざまな活動において

  • 「自分で~したい」という願いと目的を持って
  • 「自分でできた!」と達成感を感じ
  • 「もっと~しよう!」と活動を再生産していく主体としての「自我」がうまれているか

がとても重要になります。

具体的な場面では…

節を越える前の1歳前半の時期、「だだこね」といわれる姿がよく見られます。

砂場で遊んでいるのに大人に「ごはんの時間だから片付けてもう帰ろう」と言われ、
「まだあそぶ~~!!(こころの声)」とひっくり返って怒る とか、

ごはんを一応食べ終わり、お皿に残ったもので遊び始めているので
「ごちそうさまして片付けようね」と言うと、「うわぁ~~ん!!」とイスからずり落ちそうになりながら泣き叫ぶ とか…

よくありますよね。大人もホトホト手を焼く場面です(^-^;

こんなとき子どもの内面をみてみると…

「~したい」という自分なりの思いが育ってきて、
それを「~なんだよー!」と一直線に主張していることがわかります。

まさに1の字を書く1歳児と言われる所以ですね。
この「一直線」というのが1歳前半期の特徴です。

これが1歳半の節を越えると
「~ではなく…なんだ」という思考スタイルを獲得します。

これまで何を見ても「ワンワン!」と言っていたのが
「ワンワンではなくニャンニャンだ」とわかるようになるんですね。

スバラシイ!

主張するだけではないこころの窓

子どもなりの思いを主張している姿のもうひとつの内面は
主張すると同時に「相手の主張を受け入れるこころの窓ができ始めている」ということです。

ひっくり返って泣きながらも相手の言うことを聞いてるんですね。

そういえばチラッと大人の方に視線を向けている瞬間あったよな…  
心当たりありませんか(^.^)?

なので、「先生が片付けよか?〇ちゃんが片付ける?」
「先生と手つないで帰る?〇ちゃん自分で歩いて帰る?」

といった二択の選択肢を示してあげると、
泣きやんでとてもスムーズに次の行動に移れたりします。

「自分で選ぶ」というのはとても主体的な行動ですからね。
なんせ自我がうまれて主張している時期ですから、主体的な行動が発達要求にピタッと合うんですね。

「片付ける」とか「帰る」ことに変わりはないんですが、
「自分で選ぶ」となるとスムーズにできるんですね。あれだけひっくり返って泣いていても。

ここがいじらしいと言いますか、頼もしいと言いますか、笑っちゃうと言いますか… 
とにかくかわいい。

1歳半頃の内面の発達とその土台となるちからとは

いつもいつも二択を示せばうまくいくというわけではありませんし、
その場そのときによって違う対応が必要にもなってくるんですが

子どもの発達要求を知っておけば、大人がどうすればいいのかのヒントが見つかりやすいんですね。

それに「平均的な発達では1歳半頃」ということですので、
その子によってはこの節目が違う時期になることもあります。

ただ、発達の順番は大切です。

1歳半の節を越えていくには、その前の段階(10か月頃のちから)で
土台が充実していることが不可欠です。

大好きな大人との信頼関係(安心感、安全感をともなって)ができていることや、
子ども自身が生活の主人公になって、他者との関係を結んだり
「自分でやりたい」こころを育んでいることが、とっても大切です。

この土台となるちからが不十分だったり、なんらかの宿題を残していると、
大きな発達の節目を越えていくことができません。

年齢が高くなってから目の前の子どもの対応に困ることがあるというとき、
子どもの姿をひも解いていくと、1歳半の節をしっかり越えてきていないんじゃないか、
と見受けられる場合が多くあります。

節目を越えずに大きくなってこじらせているときには、
やっぱりさかのぼってこの土台を作り直すことから始めます。

1歳半前後の子どもへの関わり方とは違って難しさもありますが、
本質をみて、その子の今の発達要求をみて大人が関わっていけば、
ちからは育ちますし、子どもの姿も変化していきますよ。

「矛盾を越えるのが成長」は人間発展の法則なんです。