◎感情はコントロールできるか
小学生の保護者の方から
「感情をコントロールできるようになってほしい」
とお話をうかがうことがあります。
おかあさんに乱暴な言葉を使ったり
下のきょうだいに乱暴な態度を取ったり
学校でも感情を爆発させてトラブルになったり
といったことがよくあるそうなのです。
こういう状態では集団生活でお互い心地よく過ごすことが難しいですし、
このまま大きくなったらどうなるんだろう…
と不安もよぎりますよね。
保護者がそうおっしゃるのもわかります。
ただ、
感情はコントロールできないんです。
感情は自然に湧き上がってくるものですからね。
大人も
「感情的になるのはみっともない」と
湧き上がってきた感情を抑えていると
そのうち具合悪くなります。
だからといって
感情をそのまま何かや誰かにぶつけていると
自分がその後居心地悪くなることになってしまいます。
◎感情のサイズとわき起こってきた感情はどうするといいのか
じゃあどうするのかといいますと…
「感情を感じて感情の表現の仕方を覚える」
のです。
子どもたちにもそれを伝えたいですね。
ムキ~~!
となって手が出そうなときには
「たたいちゃダメ!」
「ガマンして!」
と言うより
「今イヤだったねぇ」
「怒るのもわかるよ」と
子どもの気持ちをわかって共感(同調ではない)したり
言葉にしてあげると
それだけで怒りのサイズが小さくなります。
そのあと
「じゃあ○○って言おうか」
「~しよう」
と具体的にどうすればいいのかを伝えます。
大人も気持ちをわかってもらえるだけで
だいぶんと落ち着きますよね。
大人は自分でもやり方に慣れてくると
「わかるよー。腹立つのもムリはない。今めっちゃ怒ってるんだよねー」
「わかってもらえなくて悲しいなー」
と自分に言葉をかけてあげられるようになるので
感情も自分で扱えるサイズになっていきます。
これができるようになると
感情に振り回されることはないです。
(これができるようになるのがなかなかムズカシイので、それまでは他の人か専門家にやってもらう)
大人になって自分で自分の感情に振り回されないように
子どものときに大人にたくさん気持ちをわかってほしいですよね。
親にわかってもらえるといちばん嬉しいですが
それが難しいなら近くにいる大人に。
親は全部子どものこと自分で抱え込もうとしないで
周りに頼れる人を見つけるのがいいですね。
その人が子どもの気持ちをわかってくれたら
子どもも落ち着けるかも。
「こう感じてたんだよ」なんて親との橋渡しまでしてくれたらなおラッキー。
◎感情を抑えるとどうなるか
どんな感情であっても
「その感情を抱くのはダメ」ではないですから
湧いてきた感情を認めて感じるのが健康的です。
「今悲しいんだね
と大人に言葉をかけてもらうと
「今ぼくは悲しいんだ」と自分の気持ちに気づいたり
「悲しいって感じていいんだ」というメッセージを子どもは受け取ります。
こういう経験を子どもには積み重ねてあげたいです。
「こんなこと感じちゃダメ」
「こんなこと感じるなんてあなた(自分)は悪い人間だ」
と否定したり
「感情的になっちゃダメだ
と感情を抑え込んでいると
心身の健康に問題が出てきます。
感情や感覚が鈍感になったりマヒしたり
無気力になったり。
ムリに抑え込んだものは
いずれバネみたいに何倍もの勢いをつけてハネ上がり
感情が爆発するときがあります。
先のお子さんも
衝動性、多動性を元々特徴として持っているというより
もしかしたら自分の気持ちを大人にわかってもらえなかったり
気持ちを表現することが安全でない環境なのかもしれませんね。
自分も心当たりがある…と思われた方は
子どものときからそう言われてきて
思い込みやこころのクセがきっとできているのでしょうね。
感情を感じるとき
子どもも大人もそばでわかってくれるひとがいてほしいものです。
自分でできるようになるまでね。
☆” 大人になった今それができていなくても同じ道すじをたどればできるようになります