◎細かいアレルギー対応が必要だったEちゃんのこと

Eちゃんはアレルギーがあり,
治療に通っているクリニックのドクターから
細かい指示がたくさん出ていました。

保育園という集団生活の場所で
Eちゃんへ特別な対応をたくさんする必要があるというのは、
現場の保育士や栄養士はとても神経をつかいましたし、

もちろん
お母さんもお家できめ細やかな手間をかけることは
とても大変でした。

なぜアレルギーになるのか?
なんて原因をひとつにしぼることは
とてもできません。

その子がお腹にいるときのおかあさんの状態、
生活習慣や食品添加物、大気汚染、
化学物質、ストレス・・・など
さまざまな原因が考えられますし、
それらが複雑に絡み合っているとも考えられますが、

こころの面から考えたとき、
Eちゃんはもしかしたら
「もっとおかあさんに自分のことをみてほしい」
「手間をかけてほしい」
「自分をわかってほしい」
という願いがあったのかなーと思います。

Eちゃんは、おかあさんのお腹の中にいるときから
ご両親が自分たちのお店をオープンさせる準備で忙しく、
店のオープンと同時に保育園に入りました。
1歳の誕生日を迎える少し前です。

オープンしてからも
ご両親はそれはとても忙しい毎日を送っておられました。
お仕事でせいいっぱいの状況だったと思います。

Eちゃんは入園した時から
人一倍いろんなことを感じ取る子でした。
「これがやりたい」「これはイヤ」
という自分の思いもはっきりしている。
そして、それを表現する子でした。

まだ言葉が話せないときは
ずーーっと泣いて訴え続けていました。
表現し続けるエネルギーも持っている子でした。

感じ取って表現するのは
自分のことだけでなく、
おかあさんの気持ちも感じ取っていましたし、
そこに心を寄せる優しさも持ち合わせていました。

「おかあさんの言う正論も大変さも十分わかってる。
けど、わたしの気持ちもわかって」
というようにずーーっと泣きながら登園した日もありました。
1歳児クラスで、まだ自分の言いたいことが言葉で伝えられない頃です。

◎Eちゃんが泣き続けたある出来事

おかあさんが話して聞かせてもあまりにも長く泣いているので
「どうしたん?」(←わたくし関西在住)とおかあさんに来る道中でのいきさつを聞くと、
Eちゃんの気持ちが痛いほど伝わってきました。

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保育園へ来る途中、リュックにつけていたお気に入りのキーホルダーを知らないうちに落としてしまった。
それにあとで気付いたEちゃんは「探しに戻る」と訴えた。
けれど「戻っていたらおかあさんは仕事に遅刻するでしょう?そんな時間はない。今はムリ」と言われ、
受け入れられずに泣いてイヤイヤと訴える。
「お迎えに来たらまた帰りに探そう」というおかあさんの説得も受け入れられない。
そんなやり取りを続けながら泣いて登園したEちゃん。
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Eちゃんはおかあさんに
「ほんとやね~」 (←おかあさん関西在住)
とひとこと言ってほしかったんだと思うのです。

「大好きなキーホルダーを落としちゃった。
だからとても悲しい」
という気持ちを
おかあさんにわかってもらいたかった。
「落としちゃったねぇ」と言ってくれるだけでよかった。

「Eちゃんは、おかあさんの言うこと全部わかってるんだよね。
おかあさんが朝急いでることも、探しに戻りたいって言ってもムリだってことも、
おかあさんが言ってることは正しいってこともぜ~んぶわかってるよね。
けど、Eちゃんが落としちゃった~っていう気持ちをおかあさんにわかってもらいたかったんだよね。
落としちゃったね~悲しいね~っておかあさんに言ってもらいたかったんだよね」

と私がEちゃんを抱っこしながら言うと
Eちゃんはピタッと泣き止みました。

私の顔を見ながら
「そやねん」 (←Eちゃんも関西在住)
とEちゃん(の表情)が言ってました。

気持ちをわかってもらったあとは
抱っこからおりて、ちゃっちゃと登園の準備を
自ら全部やっちゃうEちゃんです。

「ホンマやな~~」
「そやな~~」
のひとこと
私たち大人でも”わかってほしい”とき
ひとに言ってもらうと
何かがスーッと降りる気がしませんか?

「とにかく認めてもらった感」と、
「否定されない安心感」
がある。

「そやね~~ん! わかってくれる?」
とちょっと落ち着きますね。

◎アレルギーは何かのサイン?

Eちゃんは
言葉が話せるようになってからも
しばしばこんなふうに
自分の気持ちを全身で表現していました。

おかあさんになかなかわかってもらえないことも多かったですが、
「言ってもあかんわ」とあきらめるようなことはせず、
訴え続けるエネルギーも持ち続けていました。

「エネルギーの高い子だなー」
と私はずっと感心していました。

ひとの気持ちもわかって、行動にも移す子でしたので、
心配性なおかあさんに相談を受けても
「何の心配もいりません。おかあさん何もしなくていいです。
何もしない方がいいです^^。そのまんまでいい。
ほっといてもEちゃんはあのまま賢くて優しい子のまま大きくなりますよー。
いろんなことを感じやすい分傷つくことも多いかもしれないけど、
Eちゃんなら大丈夫◎」
といつも話していました。

いろんなことを感じ取りやすい
ひとの気持ちも感じ取る
自分の気持ちもハッキリしている
それを表現できる
し続けるエネルギーがある

そんなEちゃんだからこそ
アレルギーということを通して
おかあさんに自分の方を向いてほしい
もっと自分の世話をしてほしい
おかあさんにわかってほしいと
伝え続けていたのかなー

感じます。

Eちゃんは
おかあさんと保育園でアレルギーの特別な対応をたくさんしてもらううちに
除去食はだんだん減っていき、
卒園が近くなってくる頃には
除去食がすべてなくなりました。祝

今は小学校で何でも食べれる給食を
楽しんでいることと思います。
優しさと賢さと高いエネルギーを
持ち続けながら。

☆” 保育園の給食おいしかったね^^ 

※文章に出てくる名前はすべて仮名で、出来事は脚色を加え事実とは異なるものです。