◎保育園での子どもの生活

保育園にいるときは、子どもたちが給食の準備をしたり、昼寝の布団を敷いたり、
自分たちの生活のことは自分たちでやります。
0歳児であっても、服をカゴに片付けたり友だちを起こしてあげたり、自分のできる範囲のことは自分でやります。
保育士がそのように育てていますし、子どもたちも自分でできることが嬉しい
友だちと一緒にできることも嬉しい
子どもが自らやろうとすることを、保育士は見守ります

◎過保護や過干渉の問題

保護者が夕方お迎えに来られたとき、子どものことを保護者と保育士とで話をします。
今日あったこととか、普段の様子とか、お互い伝えたいこととか…。
そのとき、子どもに話しかけているのに、ぜんぶ答えてしまう保護者の方はいらっしゃいますか?
「○○(子どもの名前)は△△だもんね~」…と、子どものことをすべてわかっているように、子どもの代わりに全部答えてしまう。
(ただ、子どもは「そうなんだよ!」と納得している表情には見えないことが多い。)

子どもも、何か聞かれて自分が答えるとき、チラッチラっと親の様子をうかがっている場合があります。
自分が話す内容に対して親の顔色を見ているようなとき。
…そういう場面に出会ったことはありますか?

◎機能不全家族とアダルトチルドレン

「機能不全家族」や「アダルトチルドレン」という言葉をご存知でしょうか?
機能不全家族とは、家庭内に対立や不法行為、身体的虐待、性的虐待、心理的虐待、ネグレクト等が恒常的に存在する家庭を指す』
とWikipediaには書いてあります。
また、『アダルトチルドレンとは、「機能不全家族で育ったことにより、成人してもなお内心的なトラウマを持つ」という考え方、現象、人のことを指す』とも書いてあります。

このふたつはとても強い言葉に感じますし、それだけに「うちは関係ない」「うちには縁のない言葉だ」と思う人は多いでしょう。
(特に親の立場では)
一方で、「一般家庭の85%は機能不全家族である」とも言われています。

◎家族の中での緊張感

言葉の定義をすること自体難しいとは思いますが、「子どもが家族の中にいて緊張している、自分をじゅうぶんに表現できていない」状態というのは、機能不全家族の要素があります
子どもに限らず、「子ども」という言葉を「家族の誰かが」に置き換えても同じことが言えます。
家族の誰かが「自分らしくない生き方を続けている」状態ということですね。

子どもは生まれたときからその家族環境の中で育っていますから、自分では気付きにくいです。
自分は機能不全家族のなかで育っている、育ってきたということが。

その(機能不全)家族のなかでうまくいったパターンを身に付けて成長すると、
そのまま大人になっても同じパターンを家族関係、人間関係に応用します。
でも、そのパターンで生きていこうとすると行きづまることが多いんです。苦しくなることが多い。

◎過去の影響を乗り越えるために

職場でも、恋人とつき合っても、家庭をもっても、
また子ども時代と同じようなパターンの関係をつくってしまって、
いつも周りの人やパートナーの顔色を見たり緊張しているような状況に自ら身を置くということが起こりがち
です。

親が子どもの話すことを全部奪って代わりに話してしまうのは、過保護であり過干渉でもあります。
子どもの行動を先取りしてしまうのは、子どもの境界を越えてしまっていますし、
子どもの好きなように(話を)させないようにコントロール(支配)しています。
(本当のことを隠すために子どもがしゃべらないよう無言の圧力をかけ、表面だけをとりつくろっている可能性もあります)

子どもが親の顔色を見て、自分らしく表現できてないというのも、機能不全家族の素地があるといえますね。

これらのコントロールが日常的に行われていると、子どもの成長にどれだけ影響を及ぼすことか。
大きくなってからも、成人してからも、友だちや職場、パートナーとの関係にも大きく影響します。
生きづらさを抱えることにもつながっていきます。

このような環境で育ったという方にお話を伺うことがありますが、
いつも大人たちの顔色を見て不安だったし、ホッと安心できる人、場所がなかったとおっしゃっていました。
常に緊張して体もかたく力が入っていたので、いまだにみぞおちにはしこりが残っているそうです。

それでも、気付けば救われるんです。
「あ~こういう人たちがいる家庭で育ったんだな~私は」「だからこういうときこういう感情がわいてきてたんだな~」「だからひとに対してもこういう態度をとってしまってたんだな~」「こういうことを求めてしまってたんだな~」と。
ひも解ければ、そこを自分で満たしていってあげることができます。
(気付くのもひも解くのも満たしていくのも、専門家のちからを借りることをおすすめします)

こころが満足していけば、それまでのような湧き起ってくるような激しい感情も、
いつも何かが足りないように感じていたこころも落ち着いていきます。

◎子どもに安心を与える存在になる

もし、あなたの目の前の子どもがそういう家族環境にいるな~と感じたら。
その子の家族関係は直接なんとかすることはできなくても、あなたがその子の安心できる場所になることはできますよね。
そういう人がいるということで、
安心できる場所があるということで、
その子はどれほど救われるかわかりません。
「こういう大人もいるんだ」「自分には信頼できる人がいるんだ」「ひとって信頼していいんだ」ということをその子は生涯忘れないでしょう。
潜在意識に刻み込まれるから。
あなたという存在がその子のその後の人間関係に素敵に影響するでしょうね。

◎自分らしく生きるために

あなた自身はどうですか?
のびのびと自分らしく存在して育ってきましたか?
今もたくさんの人間関係のなかで毎日自分らしく過ごせていますか?
自分の考えや感じたことを恥ずかしいとか隠す感じはないですか?
自分が表現したいことをそのまま表現できていますか?
窮屈さやストレスは感じていませんか?

自分のことがもっとわかって認めていくことができれば、こころがゆるんでいきます。
いつからでもストレスを軽くして楽しく生きていけるようになります。
自分がしてほしかったことを子どもたちにしてあげれば、今の自分が癒されますよ。