子どもの行動を変えたいと思ったときの手立て

言葉でのやり取りが難しい自閉症のお子さんに接するとき、
絵カードを使ったり、ごほうびを用意したりして
決まったパターンで困った行動をやめさせたり、
こちらの指示通りにさせる方向へいこうとするケースを見ることが多いです。

私も療育に携わるようになったとき
いくつかの手立てを教えてもらいました。

本やサイトをみると
「~のときには○○するとよい」
といったノウハウがたくさん書かれています。

ただ、な~んか違和感があって
納得できないところがあったのですよねー。

「な~んかちがうなー」と。
でも、その説明がはっきりできなかった。

この本を読んたとき
その感じていた違和感のワケがよ~くわかりました。

「自閉症の理解と発達保障」
Amazon(アマゾン)

ひと言でいうと
「行動だけに注目している」
ことへの違和感
でした。

「~する」ことが正解
「子どもが~すればOK」
と初めから決められている
んですね。

子どもの発達要求には目を向けず。

子どもにしてみれば、その行動をとると正解とみなされ
ほめられたりごほうびをもらえたりする。

その行動を取ることが(大人の)目的になっているんですね。
そのための手立て。

これでは子どもの内面が
どんどん置き去りにされていってしまいます。

子どもがたとえ困った行動をくり返ししたとしても
そこには必ず理由があるはずです。
「どうしてその行動をするのか」

その意味を大人が考え深めていったとき
その子の発達要求に気付くことができます。

障害があってもなくても「発達の道すじは同じ」です

↑そこを経過しないと次の発達の段階にはいけないんです。

もし、その階段を飛ばしてしまったら
ひずみが起きて、大人になってもその影響は残ります。

むしろ、階段を飛ばした分、
次の段階でつけるはずのちからが積み重ならず
余計ひずみが大きくなっていってしまうんです。

大人が勝手に決めた正解の行動を
子どもの発達要求を無視してさせてしまっているってことは
本当に罪深いですね。

結局は、
成人してから子ども自身も親も困った状況になることが多いです。

私がこれまでの学びと経験の中でいちばん大事だと思うのは
『1歳半の節』です。

[参考記事→]

https://enfance-peace.com/hattatu

この発達の大きな節目をしっかり越えているかどうかが
その後の成長に大きな影響を及ぼしています。

保育園勤務時代は
どの子もこの節目をしっかり乗り越えていけるように
保育士みんなで関わっていました。
(0・1歳児クラス担当は責任が…!)

保育園を辞めてから出会う子どもたちを見ていると
ほぼみんなこの節目をしっかり越えてきていないように見受けられます。

それで年齢だけ大きくなっていくと
行動をこじらせまくることになります。

何歳からでも
飛ばしてきたものは道すじをさかのぼってたどるのがいいですが、
大きくなってこじらせてからでは
かつてたどるはずだった道を経験するのもなかなかタイヘンです。
(子どもにとっても大人にとっても)

目に見える表面の行動を変えようとするより
内面を育てる、根っこを育てる、こころを育てることが
本当に大切なんですよね。