発達をまるごととらえる

保育士になるまでに学校で子どものことを学ぶのはもちろんですが

保育士になってからも、子どもが生まれてから就学前までの年齢別の発達は
くり返し何度も学んで頭に入れていきます。

それらが理解できていないと目の前の子どもの姿が捉えられないからです。

大体の目安として、
この年齢になるとこんなちからを獲得する、こんなことができるようになる
ということを保育士は知っています。

身体の発達は?手指はどう?
認識面では?言葉の育ちはどう?
友だちとの関わりや集団のなかではどんなふうにしてる?
どんな絵を描いてる?

…などなど

さまざまな角度、領域から育ちを見て、その子をまるごと理解していきます。
そして、今その子に必要な働きかけ、関わり方を考えます。

そうやってひとりひとりの子どもを理解していくので
その子の特性がよくみえるんですね。

集団のなかで気になる子がいても
「~のときよく~しているから、○ちゃんにはこういうところがあるのかな。じゃあ今度はこんなふうに言葉かけしてみよう」
と具体的な手立てが考えられます。

○ちゃんにいわゆる発達障害といわれる診断名がついていようがなかろうが。

むしろ幼いほど診断名はつきません。
「もう少し大きくなるまで(大体3歳頃)様子をみましょう」

小学生になってたとえ診断名がついても
その子の成長の具合はひとりひとり違います。

その子をいろんな角度から見て育ちを理解し、
今必要な手立てを取ってあげたいものです。

学童期以降もひとりひとりの発達をよく見てから

保育園では、この年齢では大体こんなちからが育ってくるから
こんな遊びをしよう、こんな課題を子どもたちに示していこう
というふうに子ども主体に考えていましたが、

学校では、この学年ではこれを教えるということが
先に学習教育要領で決められているというのが決定的な違いだなあと感じます。

学童期の子どもの成長発達の目安を示してくれている資料や本も
探すとほとんど見当たりませんでした。

その専門の大学の先生に聞いてみても資料があまりない、とのお返事でした。
(それでもお手持ちの貴重な資料をご提供いただいたのですが)

研究者の立場からは
「学校に立ち入ることに関して、就学前に比べてハードルが高い」
というようなこともおっしゃっていました。

就学前までの子どもの成長のスピードに比べると
学童期はゆるやかになっていくとはいえ、

おおよその平均的な子どもの成長していく様子が大人側にみえていないと
目の前の子どもを捉えるのは難しいと思います。

ましてや学校へ上がる前までの成長の様子を知らないと
いろんな要素が複雑に絡み合ってすでに今の姿まで大きくなっている
子どもを理解するのが本当に難しくなります。

保育園でも途中入園の子はいますし
赤ちゃんのときからの成長をみていないお子さんもいる。

大きくなっていればなっているほどわかりにくいことも多いと思いますが

気になる姿があるのなら、これまでの育ちそびれや積み残してきた課題は何かと
さかのぼって順番にひも解いていく作業が必要ですね。やっぱり。

そうすれば、今の手立てがみえてきます。