◎あかちゃんの時代における「~したい!」「けどできない」の矛盾
「矛盾を感じること」
「その矛盾を越えていくこと」
は人の成長につながります。 というよりそれが発達成長の法則。
赤ちゃんの時代で、たとえば「首がすわる」ということについて考えてみます。
首がすわっていないときには
「大好きなおかあさんや先生の方を向きたいけど向けない」
「なんかいい音が聞こえてくるけどそっちを向けない」
という矛盾が起こります。
矛盾が起こっている時期には、ぐずり泣きが多いです。
あかちゃんなりにモヤモヤしているのですね。
やがて身体の成長とともに
首がすわって向きたい方向へ首を動かせるようになり、
おかあさんや先生の顔が見えてごきげんになります。
一歩階段をのぼって成長しました。
この「矛盾を越えていくちから」が成長です。
◎「~したい!」という願いをなぜ子どもは持つのか、持たない子はいるのか
矛盾を越えるエネルギーになるのは
「こうしたい!」という強い願いがあることです。
「おかあさん(先生)の顔が見たい!」
「そっち向きたい!」
という子ども自身から湧き出る願いがあるからなんですね。
「寝返り」の時期も同じです。
「あのオモチャを取りたい、けど手を伸ばしても取れない」
上向きの姿勢で顔の横にあるオモチャにう~~ん…!と手を伸ばしてもさわれない。
脚を交差させ体を一生懸命ひねっても… あ~~(バタン!)戻っちゃう。取れない。
この矛盾。葛藤。
やはり泣きが多くなる時期です。
けれど、この矛盾の時期を過ごすことが、次の成長につながるのです。
(この時期がなくて、何かのはずみでひっくり返っちゃった場合は本物の寝返りの力がついてないので後々発達に影響が出る可能性も)
あ~~アレほしい!と強い願いがあり、
毎日手を伸ばし体をひねり続けて
ある日、くるん!と寝返りができる。
そして、うつ伏せ姿勢でオモチャをゲットできるのですね。
モヤモヤのトンネルを抜けてごきげんな毎日になります。
こころと体の育ち、両方があって、本物の力になるのです。
この「おかあさん(先生)の方を向きたい!」という願いはどこからくるのかというと…
「おかあさん(先生)と顔を合わせるのが心地いい」と知っているからです。
「オモチャ取りたい!」という願いはどこからくるのかというと、
「オモチャが心地いい」(もっと言えばオモチャであそんでくれる人やその時間が心地よい)と知っているからです。
ですので、まずは発達の前の段階で、おかあさん(先生)との心地よい時間を過ごし、
キレイな音のする鈴のオモチャで楽しくおかあさん(先生)と遊んで
「快」「不快」を感じ分けるちから、感性を育てることが必要になってきます。
泣いても大人が何もしてくれない、
抱っこしてもらっていても大人がスマホばかり見ていて自分を見てくれていない… etc.
大人が「不快」を取り除いてくれる環境がない場合は、
「快」「不快」を感じ分ける感性は育ちにくいですね。
「お腹すいた」「おむつがぬれて気持ち悪い」etc.の「不快」な状態があって、
それを取り除いて「快」の状態にしてくれることで、感じ分ける感性が育ちます。
そして、「快」の状態をつくり出してくれる大人に対して信頼をするようになります。
大人も同じことが言えますね。
・「なんかおかしいなあ」「これって何だか変だよなあ」と矛盾に気付き、
・「もっとこうしたい」と願い、
・「こうすればもっと良くなる」と改善策・解決策を見つけて、
・実行していく
これが成長につながります。
状況や自分の変化を促す。
「矛盾を感じる」のは本当に大事なことですねー!
◎矛盾を感じるちからとその人の持つエネルギーの関係
これまで、エネルギーが高いなと感じて印象に残るお子さんに何人か出会ってきましたが・・・
「矛盾を感じる」というちからと「エネルギーが高い」ということは
リンクしているように感じます。
「奇跡の人」のヘレン・ケラーも (※原題は「The Miracle Worker」=サリバン先生のこと)
「奇跡のひと マリーとマルグリット」のマリーも
生まれてから見えない・聞こえない・話せないという時期を過ごしましたが、
そこに矛盾を感じていたからこそ、
エネルギーが高い人だったからこそ、
あれだけ暴れまくったり叫びまくったりしていたのじゃないでしょうか・・・?
矛盾を解決する糸口さえまだみつかっていないときは、
自分の持っている能力やエネルギーをどう使っていいかわからず、
もてあましていたんではないかと思うのです。
だから「Water!!」までは長くかかったけれど、
わかってからは、みるみるうちにいろんなことを吸収して変化していった。
後には、成長した自分のちからとエネルギーをひと(他者)のためにも使った。
こういう話をしていたとき、
あるセラピストの方が
『 「なんでだろう?」と矛盾を感じるのにもエネルギーがいるのだと思う。
なぜなら結論が出るまでは時間がかかるし、その間は自分の中でその「なんでだろう?」がずっとうずまいているのだから。
エネルギーが低いと、それが耐えられないんじゃないか?
エネルギーが高いからこそ、そのモヤモヤを抱えたまま過ごせるんじゃないか? 』
とおっしゃいました。
私もそれを聞きまして、ひどく納得しましたよ。
「あ~~~なるほどー。そういうことも言えるのか」
変化するってエネルギーが必要ですからね。
矛盾を感じる度合いのようなものは、子どもたちを見ていてもそれぞれです。
「あ~~取りたい!と手を伸ばし体をひねってトライし続ける子、
取れなくて泣く子、
取れなくてもさほど残念そうでない子、
いろいろです。
(※あまり矛盾を感じていない子の場合は、あえて大人が矛盾を感じるような状況をつくって、
子どもが越えていくちからを引き出していくこともあります)
感じる矛盾が大きい子は、泣くことも多いです。
モヤモヤを抱えている間泣いているのですね。
よく泣く子って、エネルギーが高くて
いろんなことをセンサーでキャッチしている子なんですね。
☆” なんで泣いているのかわかってあげたい